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Wさん・・・・県立横浜清陵総合高等学校
昨年から、私たちシンポジウム班では、妊娠時にHIV抗体検査を受けるのは本当に適切な時期であるのか、ということを母子感染と関連付けて考えてきました。ここ数年、妊娠がきっかけで結婚を決める、いわゆる「できちゃった婚」が増加傾向にあり、その中でも10代の母親が占める割合は、82.9%であることが分かっています。できちゃった婚は避妊だけでなく、性感染症の予防もせず、性行為を行っていることがうかがえます。私は、HIVをはじめとした性感染症の感染に、妊娠するまで気付かないこと、できちゃった婚の8割が10代の母親で占められている現実も合わせて、10代である私たち高校生も性に対する行動が無防備なのではないかと考えました。もし、妊娠して赤ちゃんに感染する危険性が1%でもあると分かったときのことを考えると、やはり、妊娠時にHIV抗体検査を受けるのは遅いのではないかと思います。
私の読んだ「10代 先走る性」という新聞記事には、性教育研究者の大学教授の"10代の性行動が活発化しているわりに、成熟した自分の体を守る情報が不足しているのは問題で、月経周期や妊娠の仕組み、避妊方法、性感染症の問題などの基本的な知識を持っていない者も多い"という指摘と、「日本の若者の性行動に対する無防備さは先進国でも突出している」という意見が書かれていました。日本の若者の性に関する無防備に見える行動の根底には「孤独感からの欲求」があると言いれ、私が話を伺った医師や医大生も「コミュニケーション能力の低さ」に問題があり、『さみしさ』を埋めたい気持ちが性行為へのハードルを低くしていると話していました。
また、今はSEXしたくないけれど、「相手に嫌われたくない」から「イヤ」と伝えられなかったり、どうして嫌なのかもうまく話せずにあきらめてしまうなど、その場の雰囲気に流されてしまうことも、性行為のハードルを低くしていると考えます。相手の本当の気持ちを察して話を聞くというような、きちんとしたコミュニケーションをとった恋愛をしていれば、お互いを理解しあい、相談しあうことができて、一緒に性感染症の検査に行くこともできると思います。検査機関のイメージが漠然としていて、高校生である自分が検査に行くことへの不安が大きく、いくら勉強しても「他人事」と思ってしまっている面もあり、勉強すればするほど、このような不安を誰に相談したらよいのか戸惑っているからです。しかし、不安を抱えている間にもHIVが体を蝕んでいくかもしれません。検査を受けてみることが不安を取り除く第一歩であり、「陰性」だと分かれば安心することができるのです。もし「陽性」の場合でも、早く治療を開始することができ、将来の妊娠や出産に対して、リスクを減らし母子感染を避けられることにつながります。もっと検査が気軽に受けられるような社会になるにはまだまだ課題がありますが、私たちが少しの勇気を出すことで、あなたやあなたの愛する人の人生が大きく変わるのです。本来、性行為とは、話し合い、理解を深めながら、心も体も大切に思いやることのできる人同士の行為であり、さびしさを埋めるための行為ではありません。何年も前から続いてきた親子のつながり、自分と愛する人とのつながり、これから誕生する新しい生命とのつながり、すべてのつながりを大切に守り、育てていくために、「愛する人と共にできること」を考えてみてください。
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本報告書は神奈川県立高等学校 性・エイズ教育実践研究会様のご協力、ご承諾をいただき掲載しております。
尚、一部個人名や学校名などは省略させていただいております。 |
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