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Yさん・・・・エイズ予防財団
日本におけるHIV感染者の報告数は9月報告によると14,000人で、1日に4人が新たに感染している割合である。1985〜2006年を年次別にみると、HIV感染・AIDS患者数は年々増加している。2006年の感染経路別のHIV感染者は、同性間性的接触による感染が多いが、AIDS患者は、異性間性的接触による感染が多くなっている。これは、異性間性的接触による感染者の人たちはエイズ発症後に初めて自分の感染に気づく傾向にあることを示している。また、08年までの推移を見ると、HIV感染者では20〜30代前半が圧倒的に占めているが、一方で、50代の成人層も増加傾向にある。異性間性的接触による感染者の内訳では、女性の若い層の感染者の増加が見受けられ、男性よりも女性のほうが感染しやすい体の作りを考えると、この増加は今後も継続する可能性がある。現在の性感染症の広がりとも相まって、HIV感染の拡大が予測される。その拡大は、若者層にとどまることなく、10代や成人、高齢者まで影響を受ける可能性がある。
今、「予防にはHIV検査」と、HIV検査を受けることが強調されている。もちろん検査は大切であるが、HIV感染しないような予防行動を取ることも同時に非常に大切である。予防やHIV感染について正しく知ることや感染をしないように実行すること、これがあってその後に検査が来ると思う。では、予防行動とは何だろうか。予防の基盤には、自分の体や気持ち、感覚を大切にするということがあるのではないだろうか。また、予防にはコミュニケーション能力が大切で、自分1人では予防できず、相手との話し合いのなかで初めてHIVを予防することができる。
今回のHIVと妊娠・出産のテーマについて触れたい。テレビで「14才の母」が放映された。中学生が妊娠し、周囲の理解を得て子供を産む過程は感動的であったが、同時に、主人公が妊娠しない方法とか自分の体のメカニズムをきちんと知っていたのだろうかという疑問も持った。「恋空」という映画でも、主人公が赤ちゃんを産むことが美しい物語になっていたが、中高生が子供を産むということ、そしてその後にいろんな問題が続くという現実については蓋をされている。電話相談をしていると、性を始め、HIVについての基礎的な質問が多く、まだまだ正しい知識が普及されていないのを実感している。予防とは何だろうか。これは一人ひとりの課題だと思う。妊娠や性に対してあなたはどう思っているのだろうか。自分や彼、彼女の体に対して自分の考えを持って、その中から行動を選択することが大切だと思う。その行動への決意は、決して派手なものではない。密かに自分の中で決意を持って進んで欲しい。
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本報告書は神奈川県立高等学校 性・エイズ教育実践研究会様のご協力、ご承諾をいただき掲載しております。
尚、一部個人名や学校名などは省略させていただいております。 |
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