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2004年エイズ発生動向

エイズ動向委員会は、3ヶ月ごとに委員会を開催し、都道府県等からの報告に基づき患者発生動向を把握し公表している。
2004(平成16)年1年間の発生動向について概要を取りまとめたので報告する。
本年の新規HIV感染者数とエイズ患者数の報告数の合計は1,165件となり、HIVに感染した人の総数が初めて1,000件を
超える報告数となった。


1.結果

(1)HIV感染者の報告数
1996(平成8)年以降増加が続き、2004(平成16)年は日本国籍、外国国籍合わせて780件と前年に比べて140件の増加で、引き続き過去最高の報告数となった(図1)。
日本国籍例は680件、外国国籍例は100件であった。
特に日本国籍男性の増加が顕著で、本年の報告数は前年(525件)を大きく上回り、過去最高の636件となった。日本国籍女性は44件と前年(32件)より増加した(図3)。


(2)AIDS患者の報告数
2004(平成16)年は日本国籍、外国国籍合わせて385件で、過去最高となった(図1)。
日本国籍例は309件で過去最高、外国国籍例は76件と昨年(65件)より増加した。
日本国籍男性は290件と、前年(252件)に比べて多く、増加が続いている。
 
図1.HIV感染者およびAIDS患者報告数の年次推移 図2.HIV感染者の感染経路別内訳(本年報告例)
図1 図2
   
図3.HIV感染者報告数の国籍別、性別年次推移 図4.日本国籍男性HIV感染者の感染経路別年次推移
図3 図4


(3)感染経路
2004(平成16)年のHIV感染者報告例の感染経路は、異性間の性的接触が200件(25.6%)で、同性間の性的接触が468件(60.0%)、性的接触によるものがあわせて668件(85.6%)を占めた(図2)。
日本国籍例では、男性同性間の性的接触が449件で、前年(340件)に比べて著しい増加となった(図4)。
また、男性異性間の性的接触は122件と前年(108件)より増加した。
日本国籍女性の異性間性的接触によるHIV感染者は近年30-40件の範囲を変動している(図5)。

本年におけるHIV感染例のうち、男性同性間の性的接触による感染の割合は15-24歳の年齢層では77.5%、25-34歳では73.9%、35-49歳では63.6%と多く、50歳以上の年齢層では31.8%で、男性異性間の性的接触とほぼ同率で推移している(図7-8)。
なお、前年累計における日本国籍の異性間HIV感染者の性別構成を年齢階級別にみると、15-19歳は女性が71.4%、20-24歳は女性が52.6%を占め、男性割合の高い他の年齢層とは異なる(図6)。

本年におけるAIDS患者報告例の感染経路は、異性間の性的接触による感染は135件(35.1%)、同性間の性的接触による感染は141件(36.6%)で、性的接触による感染が合わせて276件(71.7%)を占めた。
日本国籍男性例の感染経路を見ると、同性間性的接触の増加が顕著で、本年の報告は126件と異性間性的接触(99件)を上回った。
なお、静注薬物濫用や母子感染によるものはHIV感染者、AIDS患者ともにいずれも1%以下にとどまっている(図2、10)。本年は、静注薬物濫用による感染報告は5例で
あった。


(4)外国国籍報告
本年のHIV感染者では100件(前年比20.5%増)、AIDS患者では76件(前年比17.0%増)が外国国籍であった。HIV感染者の報告年次推移には大きな変化はないが、感染経路別では男性同性間の性的接触が増加傾向にあり(図11)、外国国籍者への注意と対応も必要である。


(5)推定される感染地域および報告地
HIV感染者の推定感染地域は、全体の82.4%(643件)が国内感染で、日本国籍例では90.0%(612件)を占めていた。
AIDS患者の推定感染地域は全体の69.6%(268件)が国内感染例であった。
報告地は、東京都、関東甲信越ブロック(東京都を除く)が依然多く、本年報告例ではHIV感染者全体の58.6%(457件)、AIDS患者全体の62.3%(240件)を占めている。
HIV感染者は近畿、東海、九州、中国・四国をはじめとするすべてのブロックで増加が見られ、AIDS患者でも北陸、九州を除くすべてのブロックで増加した(図13)。

   
図5.日本国籍女性HIV感染者の感染経路別年次推移 図6.日本国籍異性間HIV感染者の年齢別、
性別内訳(累計)
図5 図6
   
図7.日本国籍HIV感染者の性別、感染経路別の年次推移
[25-34歳]
図8.日本国籍HIV感染者の性別、感染経路の年次推移
[50歳以上]
図7 図8
   
図9.AIDS患者報告数の国籍、性別年次推移 図10.AIDS患者の感染経路別内訳(本年報告例)
図9 図10

2.まとめ

わが国のHIV感染者、AIDS患者の発生動向は増加が続き、性的接触によるものを中心として拡大しつつあると言える。
特に、男性の同性間性的接触による感染はHIV感染者の60%を占め、AIDS患者も増加傾向にあることから、予防啓発の普及と検査による早期発見・早期治療の機会拡大が必要である。
また、異性間の性的接触に対しては、男性のみならず女性、特に若年層への重点的な啓発普及が必要である。HIV感染は、これまでの東京を中心とする関東地域に加え、近畿、東海ブロックなど地方においても報告数の増加傾向がみられ、各地域での対策の展開が望まれる。

   
図11.外国国籍男性HIV感染者の感染経路別年次推移 図12.日本国籍男性AIDS患者 年次推移
図11 図12
 
図13.HIV感染者およびAIDS患者報告数の報告地別年次推移
HIV感染者 AIDS患者
図13-1 図13-2
 
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